50代前半の女性の症例です。
20代の頃から頭痛持ちで、他の病院で片頭痛と診断され、トリプタンを処方されていました。
閉経後から数年間、片頭痛は起きなくなっていましたが、ある日、後頭部を中心とした激しい頭痛が出現。その後もほぼ毎日のように頭痛は続き、後頭部だけでなく頭全体が痛くなる事もあり、めまいや吐き気も伴いました。
市販のイブを飲むと一時的には軽くなるのですが、効き目が切れてくるとまた痛くなり、こんな状態がかれこれ約1ヶ月続いていました。かつての片頭痛の時にはせいぜい3日以内に治まっていたのですが、これ程長く続く頭痛は今までにはなかったとの事です。
当頭痛外来を受診した時点でも強い頭痛は続いており、頭を下に下げても痛みの強さは変わりませんでした。この辺がまず片頭痛とは少し違います。
MRA(MRIを使った脳血管撮影)を見ると、

いたる所で、脳の血管が太くなったり(赤矢印)細くなったり(青矢印)しています。
後ろの方へ行く後大脳動脈(赤丸部分)を見ると、ネックレスのような形になっています。
可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群
(Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome: RCVS)
といいます。
血管攣縮というのは、血管がけいれんして縮んでしまう状態で、片頭痛の治療薬トリプタンではさらに血管を縮めてしまう事になり、全く効果はありません。むしろ、逆に血管を拡張する薬が試みられます。痛みを感じる神経である三叉神経が過敏な状態になっており、これを抑える鎮痛剤などが効くようです。
通常は2-3ヶ月位で自然に回復してきますが、早くにこのRCVSを起こす人の約40%が、元々片頭痛持ちだと言われています。